Final Mission:Aces
兄が死んだ同日、自由エルジアはISAFの兵器工場を強襲。エルジアの遺産とも言える戦闘機の最高傑作、X-02ワイバーンを奪取した。ワイバーンはエルジア最高と謳われた戦闘機であった。ISAFの進攻による物資の不足により完成寸前で終戦を迎え空に舞い上がることはなかったが、ISAFによる後の研究の結果、その格闘能力、出力、攻撃力、全てにおいてF-22Aラプターを完全に凌駕することが明らかになったのだ。それは空を知らない哀れな翼竜であった。
私は彼との決着のため、司令部を丸め込んでこの戦闘機を手に入れた。そして黄色中隊のカラーリングをし、ターミネーター同様に黄色中隊の特別仕様を施した。もはや唯一人となってしまった黄色中隊兵の私に、整備長はとびきり丁寧に改良作業をこなしてくれた。この戦闘機に敵う機はもうない。私はそう確信した。
そして彼が指定した日、午後3時45分。本来特殊兵装を積むスペースに通常ミサイルをねじ込んで私は一人サンサルバシオン郊外を出撃した。無断ではなかったものの非公認でのフライト許可だったため、私の支援機として飛び立つ翼はなかった。今回はAWACSの支援さえない。本当に唯ひとりぼっちの戦いだ。黄色い翼を持つ最後の兵士としての・・・本当に最後の。
午後4時、彼の指定した時刻。時間ぴったりに彼は現れた。レーダーには光点が一つ。他に飛んでいる者はいない。
まもなく視界に彼の機体が映し出される。だが、彼の乗っている機体はラプターではなかった。それは私の見たことのない機体、前方にとがるようについている一対の主翼、外から中が全く見えないコクピット、その異様な外見に私の自信がわずかに崩れたように思えた。私はすぐに"元"相棒に無線を入れる。
≪よう相棒、珍しい機体に乗ってるじゃないか。≫
≪こいつはな、ファルケンと言うISAF最新型の戦闘機だ。この機に死角は無い、おまけに機動性はラプターをも軽く踏み倒す高性能だ。≫
ファルケン・・・。私の記憶を辿ってみてもそんなコードネームを持つ機体の存在は見つからない。私がISAFを脱退してから完成した最新機らしい。相棒が事細かにそれを私に伝えてくれる。
≪ところでお前の乗ってる機体はワイバーンか。≫
相棒はワイバーンについて知っているようだった。こちらの機体について知っているとなると、わずかだが相棒にとって有利になるように思えた。私は機体と操縦桿の具合を確かめるように翼を左右に振った。
≪俺が憎いか、相棒。≫
メビウス1が不意に私に問う。私は返答に少しの間を置いてこう答えた。
≪今は違う。兄はあんたを恨んでない。俺はあんたとの純粋な一騎打ちを楽しみたい。あんたと兄さんがあの日この空でそうしたようにな。≫
そしてメビウス1もまた、少しの間を置きこう答える。
≪安心したぜ相棒。これで心置きなくお前と翼を交わす事ができそうだ。≫
そう言うなり、私達はそこから何も言わなくなった。互いに逆方向に機首を向け、十分に距離をとったところで反転する。私達は互いの機体を正面に捕らえた。
≪・・・いくぞ相棒。≫
私は小さくつぶやいた。そして・・・
≪Engage!≫
互いにそう叫び、私達の最後の戦いは始まった。双方とも正面からのミサイルロックで矢を放つ。互いのコクピットに鳴り響く警告音。ひきつける操縦桿、飛び去る白い矢。私は急上昇から相手の上を押さえ、上空から機銃を浴びせる。小刻みに振動する期待、襲い掛かる銃弾。だが一撃も当たることなく相棒は私を追って急降下を始める。
≪腕を上げたな相棒。≫
無線で入る相棒の声。私は背後に迫るファルケンを振り払うため、急降下から最小半径で急上昇に転じた。そしてワイバーンの翼を折りたたみ、アフターバーナー全開でロケットのごとく舞い上がる。相棒もそれを追うが、翼を引っ込めたワイバーンのスピードに敵う戦闘機はいなかった。みるみる2機の距離は離れていき、高度が4万フィートに達した時、私は再び急降下を始めた。そして急上昇で迫る相棒を正面に捕らえて矢を放つ。相棒は突如急上昇から急旋回へと機体を立て直し、難なくミサイルをかわしてしまった。
≪戦争とは悲しいものだな。かつて相棒と呼び合い慕った男を自らの手で葬らなければならなくなる。そうは思わないか?相棒。≫
そう言うと背後を取ろうとする私に最小半径の宙返りを見せ、私をミサイルロックにかける。そしてファルケンの翼から2本の矢が飛び立つ。私は斜め上に向けての旋回に加え、操縦桿を目一杯引いて宙返りを見せる。矢は私のワイバーンに当たる事なくどこか遠くへ飛び去ってしまった。
≪戦争は俺達に何をくれた?英雄という殺人鬼の称号か?部隊という殺人集団の中の友情か?≫
私は彼の背後に回りこみ、その機体をガンレンジに捕らえた。そして機銃を相棒の機体に撃ち込む。弾はファルケンの主翼をかすったかに見えたが相棒の巧みなロールによってかわされる。そして彼は急減速とわずかな上昇で私を追い抜かせ、瞬時に私をミサイルシーカーに捉えた。兄が彼に落とされたときのあの機動だった。
≪戦争にあるのは失うものだけだ。何も俺達に与えられるものはない。≫
私は彼の翼から矢が飛び立つ一刹那前に彼と同じ機動を見せた。私は再び彼から背後を奪い取る。その機動は兄が私に教えてくれた唯一の技だった。私にとっては兄の形見であった。
≪お前を倒し、この戦争を終わらせる。そうすれば俺達ははじめて呪縛から自由になれる。終戦だけが俺達を解放してくれる!≫
私はガンレンジの至近距離からミサイルを彼に向けて放った。白い矢は彼の後方5mまで迫ったが、彼は信じられない超高機動でそれをかわした。これがファルケンの能力だというのか。そして最小半径で私の後ろに回り込み、ミサイルロックをかけた。
≪お前は自由エルジア最後の砦だ、切り札だ。お前を倒せば戦争は終わる、俺達は自由になれる!≫
私のコクピットにミサイルアラートが鳴り響く。私は左へ急旋回し回避を試みるが、メビウスの白い矢は左主翼の先端をかすめて爆発した。そして私の主翼から黄色くカラーリングされた黄色中隊の証を奪っていった。私の機体は一気にバランスを崩した。私はとっさに損傷の無い右主翼の先端部分を折りたたみ何とか機体をもちなおしたが、もはやワイバーンに次の矢を避ける気力は残されていなかった。
≪残念だったな相棒。これが戦争だ、受け入れるべき運命だ。≫
そう言って相棒は私の正面に回りこみ、臨終の矢を私に向けた。コクピットにやかましく警告音が響く。私はもう避けようとはしなかった。だが、私は最後の意志として正面から突っ込んでくる相棒にイーグルの白い矢を放った。
そして・・・。
命中音。もぎ取られた翼。地獄への業火。落ちてゆく機体。ワイバーンは飛行能力を失い海へと落ちていく。私は最期を覚悟した。その時、相棒からの無線が入る。
≪・・・相棒。≫
相棒もまた炎の中にいた。イーグルの白い矢は回避しようとした彼の機体からエンジンを剥ぎ取り、彼を翼ごと吹き飛ばしたのだった。彼は脱出しようとはしなかった。私もまた脱出することはなかった。そして相棒からの最期の無線が入る。
≪・・・来世でも俺の相棒でいてくれることを願ってるぜ。≫
そして激戦を生き抜いた二人のエースは、この日空へと還っていった。
その後、切り札を失った自由エルジアは後退を開始。ISAFはわずかに残ったイーグル中隊を軸に進軍。ついに自由エルジアは降伏し、戦争は終焉を迎えた。この戦いを生きた二人のエースの生き様は後の歴史に長く長く語り継がれ、やがて伝説と化していった。だが二人が戦ったあの空を、二人のエースの壮絶な最期を、その後の歴史が思い出すことはなかった。
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ACE COMBAT 04 二次創作小説最終話。ココに完結。
この小説を「ソラノカケラ」と命名!時間があればshiroikazeにUPするかも・・・?
以下、専門用語について書いてあるページへ。
ACE COMBAT 04 概要(Wikipediaより)
黄色の13とかメビウス1とかについても書いてある(*^ー’)b
F-22AラプターF-14AトムキャットF-16Cファイティング=ファルコンF-117ナイトホークA-10AサンダーボルトF-15CイーグルF-15 ActiveSu-35スーパーフランカーSu-37ターミネーターX-02Aワイバーン特殊兵装各種 » 続きを読む